セッション11報告
GPSを用いた精密キネマティック測位の地球科学への応用


 本セッションでは、12の口頭発表と5つのポスター発表が予定されていたが、口頭発表のうち、イギリスの研究者による発表の一つ(講演番号11-10)は、著者が来日できなかったために、資料のみがポスター会場で展示された。 その他の講演はすべて予定通り実施された。

 本セッションの主題は、キネマティックGPSによる精密測位技術を様々なリモートセンシングを行うプラットフォーム、たとえば飛行機や船舶の精密測位に利用し、陸上地形、海面形状、海底地形等の精密測位を高精度化する研究であった。 また、キネマティックGPSデータ処理のアルゴリズムに関する研究もこのセッションに含まれていた。

 注目すべき研究としては、一つには、キネマティック測位で長距離基線(500〜2,000キロメートル)の測位を行った結果と、その航空機測位への適用の結果(Colombo, Han and Rizos)がある。 また、精密測位をスペースシャトルに適応し、宇宙からレーダーで広域の精密な陸上地形の測量を行う計画も発表された(Webb). 一方、海の分野の研究では、海面の船舶のキネマティック GPSによる精密測位を利用して、海底の音響基準点等の精密測位を行う研究が数多く発表された(Chadwell et al., Asada et al., Obana et al., Osada et al.)。 そのほか、地滑りの監視システムの開発(Petrowsky et al.), 海面のブイの高さの精密測位により、津波の検出と早期警報に向けたシステムの開発研究(Kato et al.)や、海流(吹送流)や潮汐等による海面高変動の観測研究(Cardellac et al.)等の興味深い発表が行われた。

矢吹哲一朗


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