地表の荷重の変動が地震発生へ影響を及ぼすという説がある.地下の断層の両側の岩盤がずれて,大地に蓄積されたひずみを解放する現象が地震である.地表に海水や雪などの荷重があると,地下の断層を両側から押し付けて動きにくくする働きをする.地震発生寸前までひずみがたまった断層があったと仮定する.満潮の間は海水の荷重でなんとか動きを押さえられていた断層が,潮が引いて荷重が取り除かれたときに動きだすことが考えられる.海洋潮汐の位相と海底下で発生する地震のタイミングの相関の有無はこれまで多くの研究者によっての統計的に検討されてきた.最近では両者には弱いながらも統計的に有意な相関があるという報告がいくつかなされている.一方日本の積雪地域で過去に発生した被害地震の発生時期をみると,春から夏にかけての発生数が秋から冬にかけての発生数の何倍かになる.これは積雪荷重にも海洋潮汐荷重と類似の地震の発生との相関関係がある程度あることを示唆している.
|