目次 | 第3部 応用編 | レーザー伸縮計
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1.伸縮計の基礎 2.レーザー伸縮計 3.ターゲット

レーザー伸縮計 − 伸縮計の基礎

 テクトニックな応力変化や潮汐力などによって生じる地殻ひずみ変化の観測に,伸縮計が用いられている.図1に示されているように,伸縮計の構造は,岩盤に固定された2つの基台(固定端と自由端)のうちの一方(固定端)に基準尺を取り付け,基準尺の先端と自由端との間の相対変位(⊿L)を差動トランスやマグネ・センサーなどの検出器を用いて電圧や電流の変化量として取り出すものである.これにより,2点間のひずみ変化(⊿L/L)を検出することができる.この方式の伸縮計で得られる連続観測データの解析から,10-7/yrの桁で変化する日本列島のひずみの変化や,10-8/dayの桁で変化する地球潮汐ひずみなどの研究が行われている.

 伸縮計を用いた地殻ひずみの観測は,一般に,降雨や気温変化などによる気象的擾乱が小さい地下の観測坑道内で実施されている.また,伸縮計の基準尺には,スーパーインヴァール棒や石英管などの熱膨張係数の極めて小さい材質が用いられている.しかし,基準尺を用いた従来方式の伸縮計の限界として,基準尺を支える支持機構と基準尺との間に働く摩擦の問題や長期間の観測に際して基準尺自体の経年変化の量が見積りにくいことなどが挙げられる.その点,固体の基準尺を用いる必要のないレーザー干渉計方式の伸縮計は,このような制約から免れうる.さらに,レーザー伸縮計は,ミクロン単位の微小な相対変位を光の1/2波長を基本単位として定量的に検出できることも大きな利点である.


図1. 伸縮計(ひずみ地震計)の基本構造.



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