さてチャンドラー極運動発見後1世紀以上を経た西暦2000年に,米国地球物理学連合の雑誌Geophysical Research Lettersに米国ジェット推進研究所のRichard Gross氏が“The excitation of the Chandler wobble”と題する論文を発表した(Gross, 2000).その結論は「チャンドラー極運動を励起しているのは,海底圧力変動である」というものである.Gross(2000)が示したことを一言でいうと,極運動から推定される励起源が大気と海洋のデータから推定される励起源とよく一致するということであり,大気と海洋の各種の相対的な寄与を見ると,海底圧力変動が最も重要な貢献をしている,という解析結果であった.チャンドラー周期の14ヶ月周辺を含めて,Gross(2000)では広い周波数帯域にわたって良い一致を示しているように見える.
ところでGross(2000)の論文には,日本の研究者から発信された幾つかの論文が伏線となっていることを述べておく必要がある.
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参考文献
Gross, R. S.(2000):Geophys. Res. Lett., 27, 2329-2332.
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