古代の人たちは,大地は平面であると考えていたようである.地球が丸いと考えられるようになったのは古代ギリシャのピタゴラス(紀元前582-493?)とその学派の人たちであったとされている.彼らは,数学こそが自然を支配するものであると考えており,数学的に最も完全な形である球がこの大地の形にふさわしいと考えた.これは,陸から離れた海上から陸を見たとき,ある程度の高さ以上の場所のみが見え,海岸線付近は見えないことから考えついたものだと思われる.その後,アリストテレス(紀元前384-322)は,月食の影が丸い,南北に移動すると見える星が変化するということを地球が丸いことの根拠としてあげている.
アレクサンドリアの図書館長であったエラトステネス(紀元前275-195)は,図書館の書物から,アレクサンドリアの南のシエネ(現在のアスワン)に,夏至の正午にだけ水面まで太陽の光が届く深井戸があることを知り,これをきっかけに地球の大きさを求めた.彼は,夏至の正午のアレクサンドリアでの太陽の高度を7.2°であると求めるとともに,アレクサンドリアとシエネの距離を隊商が移動するのに要する日数から5000スタジア(約920km)と求めた.アレクサンドリアとシエネは同じ経度上にあるとすると,地球一周の長さは
となる.この値は実際の地球の大きさに比べ,わずか15%ほど大きいだけで,当時の技術水準から考えて驚異的な正確さであったと評価され,エラトステネスは測地学の父と呼ばれている.
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