目次 | 第3部 応用編 | 常時地球自由振動
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1.概要 2.観測事実と原因 3.今後の展望

常時地球自由振動 − 観測事実と原因

 常時地球自由振動は,発見以後,広帯域地震計ネットワーク記録などの解析から,日本だけでなく,アメリカ・フランス・ドイツなどの研究グループによって,その存在が確認された.さらに,東京大学地震研究所を中心とする研究グループは,世界中のノイズレベルの低い広帯域地震計観測点の10年分の記録を解析した.それによって,常時地球自由振動の信号の大きさが季節変化していること(北半球の夏の時期に振幅大),また,大気の振動と共鳴することにより,ある周期の振幅が異常に大きいことがわかった(図2).

 常時地球自由振動の原因は,いくつか考えられている.世界中で起きている小さい地震を集めても,自由振動を起こすエネルギーに足りないことから,小さい地震が原因でないことは明らかになっている.大気が地表全体を叩くことによって起こる自由振動の問題が定式化され,その計算結果と観測とがよく一致することが示された.この理論的研究や上記の観測事実から,常時地球自由振動の原因として大気が有力視されている.南極に近いインド洋に原因があるという研究結果も報告されており,海洋が関与している可能性もある.


図2. 常時地球自由振動のスペクトログラム.縦の縞々がそれぞれ地球自由振動のモードと一致している.0S 290S 37が大気振動と共鳴するモード.(図協力:西田究)



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