日本測地学会
The Geodetic Society of Japan

2002年公開講座のご案内

「金沢が生んだ日本初の世界的天文測地学者 木村栄」 ―z項発見から100年―

  • 日時:10月28日(月) 18時15分~20時30分
  • 会場:金沢市観光会館 2階大集会室
    〒920-0993 石川県金沢市下本多町6-27
    電話 076-220-2501
  • 主催:日本測地学会
  • 問い合わせ先:
    • 日本測地学会公開講座事務局(金沢大学理学部内)
      電話 076-264-5731、076-264-5723 Fax 076-264-5746
      E-mail sympogeodesy@earth.s.kanazawa-u.ac.jp
    • または、日本測地学会事務局(国土地理院内
      TEL:0298-64-4767、0298‐64‐4767 Fax 0298-64‐1802
      E-mail:geod-soc@vldb.gsi-mc.go.jp
参加費は無料です。申し込みも必要ありません。当日、直接会場へお越し下さい。

講演プログラム

「木村栄博士となぞのz項」
(笹尾 哲夫 国立天文台地球回転研究系)

石川県が生んだ天文学者木村栄博士は、1902年に、明治の日本が参加したはじめての大規模な国際学術協力観測であった国際緯度観測事業(星を基準に地球の自転のふらつきを測る観測)の観測結果を解析して、「z項」と呼ばれる新しい現象を発見しました。この発見は、新興日本科学が成し遂げた初の世界的学術成果として高い評価を受け、最初の文化勲章や、イギリス王立天文学協会のゴールドメダルなど多くの賞を授けられました。

この発見の裏には大きなドラマがありました。実は、当時ドイツにあった国際観測の中央局から「日本の観測結果はおかしい」という厳しい指摘を受け、日本科学の名誉をかけて、懸命な原因究明の努力が行われたのです。明治の指導的研究者の多くをまきこんだその努力の上に、木村博士は、観測装置や観測方法には全く問題はなく、原因はz項という未知の自然現象にあることをつきとめたのでした。

z項を生じさせるメカニズムは、その後の研究で、地球の内部構造にあることがわかりました。特に、地表から3000km以深にある溶けた鉄やニッケルから成る流体核の振舞いにその原因があったのです。今日、地球自転の変動を測る観測の精度が大きく向上し、z項に連なる現象は、地球深部の性質を探る重要な情報源となっています。

「z項以後-地殻変動三題ばなし: -雪がふると地震が起きる!?-」
(日置 幸介 国立天文台地球回転研究系)

宇宙技術の発達によって昨今は大地の動きが手に取るようにわかるようになってきました。その結果地面はプレートにのって「ゆっくりと一方向に」動くだけでなく、たまに妙な「一回限りの」動きを見せ、かつ最近では「周期的に」いったりきたりの動きもあることがわかってきました。本講演ではこれら三種類の地面の動きを支配する地球のしくみや、地殻変動と地震や地球 環境との関係について解説します。

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