2000年公開講座のご案内
公開講座の写真 >>「アジアの中の日本、そして駿河の国」
~現代の精密測地科学が解き明かしたもの~
- 日時:平成12年10月22日(日)
午後1時30分から午後5時30分まで(午後1時開場) - 会場:GRANSHIP(静岡コンベンションアーツセンター)11階会議ホール・風
静岡市池田79-4(JR東静岡駅南)(TEL 054-203-5710) - 主催:日本測地学会
- 後 援(依頼中):
静岡県、静岡市、清水市 - 問い合わせ先:日本測地学会公開講座事務局(東海大学海洋学部/静岡大学理学部)
東海大(瀬川爾朗):TEL 0543-37-0924
E-mail:jsegawa@scc.u-tokai.ac.jp
静岡大(里村幹夫)TEL 054-238-4945
E-mail:semsato@ipc.shizuoka.ac.jp
または、日本測地学会事務局(国土地理院内)
TEL:0298-64-4767、E-mail:geod-soc@vldb.gsi-mc.go.jp
講演プログラム
- あいさつ
13:30~13:35
東海大学海洋学部教授
日本測地学会会長 瀬 川 爾 朗 - 講 演
- 13:35~14:20 「地図がかわる~世界測地系とは何だろう」
国土地理院測地部
測地技術調整官 松 村 正 一 - 14:20~15:05 「こんなことにも使われているGPS」
静岡大学理学部
教授 里 村 幹 夫 - 15:15~16:00 「東海地域の地殻変動の今」
国土地理院地理地殻活動研究センター
主任研究員 鷺 谷 威 - 16:00~16:44 「東海地域の海底はどうなっている?」
東京大学海洋研究所
教授 徳 山 英 一 - 16:45~17:30 「再び月をめざす-SELENE計画のねらい」
国立天文台地球回転研究系
教授 大 江 昌 嗣
- 13:35~14:20 「地図がかわる~世界測地系とは何だろう」
地図がかわる~世界測地系とは何だろう
(国土地理院測地部 測地技術調整官 松村正一)
世界中どこでも緯度経度の測り方の基準は同じ、と考えるのは実は間違いです。と聞いて、世界中の誰だってグリニッジ子午線をもとに経度を測っているし、緯度だって赤道を0度に北極南極を90度にとって測ってるじゃないか、これは世界共通じゃないの?と思った貴方。ナカナカ鋭いですけれども実は正確ではありません。
ということで、我が国の緯度経度の測り方とその問題点、いま移行に向けて準備を進めている世界共通の緯度経度の測り方(世界測地系)について紹介します。
こんなことにも使われているGPS
(静岡大学理学部生物地球環境科学科 教授 里村幹夫)
人工衛星からの電波で地球上の位置を知るシステムのGPSは、カーナビが普及して一般の人にも知られるようになってきました。このGPSは、元々はアメリカの軍事技術として開発されたものですが、民間人もこの技術の恩恵を受けるようになりました。船や飛行機や自動車の位置を知るのはもちろんのこと、地殻変動を調べるための精密測量や、土木工事のための測量にも使われています。また、地震計として使われたり、さらには、天気予報にも利用されようとしています。
このように、さまざまな地球観測の手段として用いられるようになったGPSについてお話しします。
東海地域の地殻変動の今
(国土地理院地理地殻活動研究センター 主任研究員 鷺谷 威)
「明日起きても不思議ではない」と言われてから早や20年、東海地震は未だに発生していません。果たして東海地震はいつ、どのようにして起きるのでしょうか?こうした問いに答えることは依然として難しいのですが、東海地域の地下の様子は、長期間続けられてきた観測によって次第に明らかになってきました。地殻変動の観測は地震の準備過程との関連が深い重要なものですが、最近はGPSにより高精度の観測を連続的に行えるようになっています。
本講演では、こうした最新の観測データに基づいて東海地域における現在の地殻変動を概観し、そこから推定される東海地震の実像に迫ります。
東海地域の海底はどうなっている?
(東京大学海洋研究所海洋底科学部門 教授 徳山英一)
東海沖の海底では過去に幾たびかの巨大地震が発生したことが、古文書をひもとくことによって明らかにされています。その中で最も新しい地震が東南海地震です。しかし、東南海地震の際に変位した活断層については、特定されるまでにはいたっていません。その理由は活断層が海域に存在すると考えられているためです。しかし、2000年に実施された日仏の共同調査によって、地震発生帯から連続する活断層を明らかにすることが出来ました。
今後、日本がリーダーシップを取って推進中の、海域における国際掘削計画(OD21)で本海域において掘削が実施されれば、来るべき巨大地震の予測に関して多大な情報が得られるものと期待されます。
再び月をめざす-SELENE計画のねらい
(国立天文台地球回転研究系地球変形研究部門 教授 大江昌嗣)
現在進められているSELENE計画は十数器の観測機器を組み合わせ、月の起源と科学、今後の月からの観測をめざす大計画です。その中には、リレー衛星にVLBI電波源を搭載し軌道の変化を追跡して、月の重力の分布や内部を探るなど、最新の測地計測を応用した手法が展開されており、それらによる月全面の観測がなされます。
月は地球に最も近い天体であるにもかかわらず、その起源はなぞです。地球・月系の力学的な進化の原因は潮汐力ですが、月自身の潮汐変形の効果や、過去の月の内部の変化の影響はほとんど未知のままです。月の起源は、コアの状態やその密度がどうであるかを知ることが、謎をひもとく鍵となっていますが、これらは月だけでなく、太陽系の形成や軌道変化等を解明する上でも極めて重要な課題になっています。
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