目次 | 第3部 応用編 | ゆっくり地震
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1.ゆっくり地震って? 2.地球ダイナミクスのダークマター? 3.南海トラフ,相模トラフ

ゆっくり地震 − 地球ダイナミクスのダークマターか?

 図2(Yagi et al.(2003)による)の赤線コンターは,1994年三陸はるか沖地震の,地震波の解析から求められた地震時すべりの大きさ(最大ほぼ3m),青線コンターはGPSデータから求めた余効すべりの大きさ(最大ほぼ1m)である.赤影の部分がアスペリティで,青影の余効すべりと空間的に棲み分けていることが分かる.

 太平洋プレートは,日本海溝から年間ほぼ8cmの高速で沈み込んで行く.そのため,1994年三陸はるか沖地震や2003年Mw8.3十勝沖地震などの巨大地震が起こる.ところが,高速沈み込みに見合うだけの量のモーメントを解放しておらず,大きなギャップがある.このギャップを埋める有力候補がゆっくり地震であるが,図2の様な余効すべりを全部足し合わせても,現状では上記のギャップを埋めるには程遠い.このギャップを埋めるため,日本海溝では,将来,巨大なゆっくり地震が起こるのかも知れない.


図2. 1994年三陸はるか沖地震における,地震時すべり(赤)と余効すべり(青)の分布(Yagi et al., 2003より).



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