新しい月の重力場モデル
月の重力場モデルの精度向上は,それ自身としては,月の内部構造の解明に大きな影響を及ぼすが,月レーザー測距(LLR)によってこれまで得られ,また,将来のミッションで精度向上が期待される月の回転変動モデル(物理ひょう動と自由ひょう動)と組み合わせて,慣性モーメントから中心核の物性を調べたり,それが融けているかどうかを調べたり,月の起源と進化の解明にとって重要な情報をもたらす.また,同じSELENEに搭載予定のレーザー高度計(LALT)によって得られる精密な月の地形モデルと組み合わせて,とくに月の裏側の地殻の粘弾性,クレータの成因から月の熱史の解明にとって重要な情報をもたらす.
新しい月の地形モデル
月には,重心と形の中心が約2kmずれていることや,でこぼこをならした平均的な形状が球ではなく長軸を地球に向けた三軸不等体になっているという2つの大きな地形上の特徴がある.これらの特徴は,月の地殻の厚さが表と裏で異なっているかどうかや,月がこれまでにどのような潮汐力を受けてきたか等に関係し,月の内部構造・起源・進化を考える上で重要な手がかりを与える.もっと小さなスケールの地形についても月の重力場のデータと組み合わせて内部構造・テクトニクス,熱史についての情報が得られる.
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