目次 | 第3部 応用編 | VERA−VLBI
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1.VERAプロジェクトとは 2.どんな観測? 3.相対VLBI法 4.測地観測 5.VERA局の変位 6.位置天文学・天体物理学

VERA−VLBI − VERAプロジェクトとは

 VERA(ベラ)と呼ばれるプロジェクトが,国立天文台が中心になって進められている.VERAとは,VLBI Exploration of Radio Astrometry の略称で,VLBI(Very Long Baseline Interferometer: 超長基線干渉計)手法を用いた研究プロジェクトである.VERAは,日本国内の4カ所(岩手県水沢市,鹿児島県入来町,東京都小笠原村,沖縄県石垣市)に,それぞれ直径20mの電波望遠鏡(アンテナ)を設置し,それらを組み合わせて観測をすることにより,直径2300kmの電波望遠鏡と同等の分解能をもつ観測装置に組み上げている(図1).

 VLBIの原理については,(2-4-1-2.VLBI),VLBIの項に簡単に紹介されている.VERAの独自の観測手法については後述するとして,まずはVERAプロジェクトではどんな研究を目指しているのか紹介しておこう.まず,測地学,地球惑星科学の観点からは,
1)電波望遠鏡の位置変化を精密に測ることにより,プレート沈み込み帯における力学研究,広域地殻変動の研究を行う.
2)地球回転の変動などの地球規模の変動の観測.
3)月周回衛星の位置観測による「測月学」への応用(SELENE計画).
などが考えられている.また,位置天文学,天体物理学の観点からは,
4)銀河系内の天体距離を三角測量により直接測定.固有運動の測定.
5)ミラ型変光星の周期光度関係などの研究による宇宙距離尺度の精密化.
6)原始星や晩期型星のアウトフローの物理機構の研究.
7)クェーサーや電波銀河の構造や時間変動,それらを用いた観測的宇宙論.などが考えられている.

 VERAプロジェクトの概要,進行状況についてはVERAのホームページhttp://veraserver.mtk.nao.ac.jp/index-J.htmを随時参照されたい.


図1. VERA観測局の配置図(背景のイラストはKAGAYAによる).

関連Webサイト
VERA のホームページ



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